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法人向けコラム

会議室の音響設備を、Web会議のパソコンにつなぐ|いまある設備で始める方法

ノートパソコンとUSBで接続したオーディオインターフェース。インターフェースにはXLRケーブルが2本つながれ、パソコンの画面にはミキサーの設定画面が表示されている

会議室でWeb会議をするとき、多くの場合はノートパソコンを1台置くところから始まります。
成立するのは、全員がパソコンの近くに座れる範囲までです。
席が離れると、遠い人の声は相手に届きません。

会議室のイラスト。長い会議テーブルの端のノートパソコン1台に4人が身を寄せて画面をのぞき込み、テーブルの反対側の席は空いている
ノートパソコン1台だと、全員がその近くに集まることになります。

会議室にマイクとスピーカーの音響設備があるなら、それを使えば解決できます。 ただし音響設備は「部屋の中に音を出す」ためのもので、そのままではパソコンとつながりません。
間に機器を足すことになります。

もっとも、どの会議室でもそのまま流用できるとは限りません。 何が必要で、いまの設備で足りるのか。
そこから順にご説明します。

この記事の要点

  • ノートパソコン1台のWeb会議は、全員がパソコンの近くに座れる範囲まで。会議室の音響設備を使えば、離れた席の声も届けられます。
  • 判断が要るのはミキサーの中の設定です。パソコンへ送る側には相手の声を乗せない「送り分け」が、いまのミキサーで作れるかが分かれ目になります。
  • 空気を伝ってマイクに戻る音(エコー)は、送り分けでは塞げません。エコーキャンセラーは設計の時点で決めておく項目です。

送り分けを設計する

ケーブルをつなぐこと自体は難しくありません。
判断が要るのは、ミキサーの中の設定です。

音響設備から出る音は、行き先ごとに中身を変える必要があります。

ミキサーに入った室内マイクの音と相手の声を、出力先ごとに分けて送る図。室内のスピーカーへは室内マイクの音と相手の声の両方を送り、パソコンへは室内マイクの音だけを送って相手の声は乗せない。パソコンへ送る側に相手の声が乗ると、相手の声が相手へ戻ってループする
室内のスピーカーとパソコンでは、送る音の中身が違います。

室内のスピーカーには相手の声を出さなければ、会議室にいる人に聞こえません。
逆に、パソコンへ送る側に相手の声が乗っていると、相手の声が相手へ戻ってループします。

つまり、出力先ごとに、ミキサー側で送る音の設定を変えておく必要があります。 配線を引けば決まるものではありません。

ここは後述のエコーキャンセラーで解決できる部分ではなく、大前提として設計しておくところです。

いまの設備でこの設定ができるかどうか、ご自身での確認が難しい場合は当社でお手伝いします。


いまある設備で足りる場合、足りない場合

既設への組み込みで、可否を決めるのはミキサーです。 前章の送り分けを実現するには、次の2つが要ります。

  • 物理的な入出力に余りがあること。 パソコンへ送る出力と、パソコンから受ける入力で、2系統を新たに使います
  • マトリクスが組めること。 どの入力の音を、どの出力へ送るかを個別に設定できること。相手へ送る側にだけ相手の音を乗せない、という設定はこれで作ります

会議室によくある簡易なミキサーやアンプは、出力が1系統で、そこに全部が混ざって出る構造のものが少なくありません。
この場合は送り分けが作れないため、ミキサーは入れ替えになります。

いまのミキサーで足りるかの見分け方。入出力に余りがあること(パソコンへ送る出力とパソコンから受ける入力の2系統)、マトリクスが組めること(どの入力の音をどの出力へ送るかを個別に設定できる)。出力が1系統で全部が混ざって出る場合(簡易なミキサーやアンプに多い)は、ミキサーの入れ替えになる
スピーカーやアンプが使えても、ミキサーが対応できなければそこだけ手を入れます。

ここが、既設を活かせるかどうかの実質的な分かれ目です。 スピーカーやアンプがそのまま使えても、ミキサーが対応できなければ、そこだけは手を入れることになります。

どちらに当たるかは、現地で既設の型式と結線を確認しないと判断できません。

なお、ミキサーを入れ替えることになった場合は、そのタイミングでエコーキャンセラーを内蔵した機種を選んでおくことをおすすめします。
理由は次章でご説明します。


エコーキャンセラーを、どこに持たせるか

送り分けができていれば、ミキサーの中に相手の声が戻る経路はありません。 それでもエコーは起こりえます。

相手の声は、室内のスピーカーから出ています。
その音は空気を伝って、室内のマイクに入ります。 そのマイクの音は相手へ送られるので、結果として相手には自分の声が返ります。

これは送り分けでは塞げません。 スピーカーとマイクが同じ部屋にある限り、音は空気を通ります。
この空気を経由した回り込みを消すのが、エコーキャンセラーの役割です。
相手から来た音が部屋を回ってマイクに戻る分を常時追いかけ、送る前に差し引きます。

Web会議のエコー。相手の声が会議室のスピーカーから出て、空気を伝ってマイクに回り込み、相手に自分の声が遅れて返る。エコーキャンセラーは、スピーカーに送った相手の声を手がかりに、マイクの音から回り込んだ分を差し引く
スピーカーとマイクが同じ部屋にある限り、音は空気を通ってマイクに戻ります。

この処理はWeb会議ソフト側にも備わっていますが、設備として組む場合は、会議室側の機器に持たせておくのが一般的です。

理由は2つあります。
使ってみて不足が分かってから追加するとなると、あらためて予算を取り、機器を選定し、工事の日程を組み直すことになります。
そしてもう1つ、最初からその機能を持つ機器で組む方が、あとから足すより費用を抑えられます。

後から足せる部分ではないので、設計の時点で決めておく項目とお考えください。

室内のハウリングとは別の現象です

「相手に声が返る」という症状から、ハウリングと混同されることがありますが、別物です。

室内のハウリングWeb会議のエコー
起きる場所室内(キーンと発振する)相手側(自分の声が遅れて返る)
主な原因スピーカーとマイクの位置関係・向き相手へ送る音に、相手から来た音が混ざっている

室内のハウリングは、室内で音が一周することで起きます。
対処も別で、こちらは会議室のハウリング・「音が聞き取りにくい」を解決する音響設備の選び方で解説しています。


どうつなぐか

必要なのは、会議室の音響設備とパソコンの間に入る機器です。
オーディオインターフェースといい、パソコンとはUSBでつなぎます。

会議室のイラスト。長い会議テーブルの両側に8人ほどが座り、壁の大きな画面に映る遠隔の参加者と会議をしている。画面の左右の壁にスピーカーがあり、発言している人がハンドマイクを持っている
音響設備につなげば、離れた席の声も相手に届きます。

音の流れは2方向あります

向き経路
室内の声を相手へ室内マイク → 会議室の音響設備 → オーディオインターフェース → パソコン
相手の声を室内へパソコン → オーディオインターフェース → 会議室の音響設備 → 室内スピーカー

注意が要るのは、ミキサーのどの出力から音を取り出すかです。
室内のスピーカーへ送っている出力には相手の声が混ざっているので、そこからは取れません。
送り分けで用意した、相手の声を含まない出力から取ります。

機器をどこに置くかで、使い勝手が変わります

固定の設備として組む場合、オーディオインターフェースをどこに置くかが実際の設計になります。

要点は、USBの配線は短く取ることです。
長く引くと不安定になりやすく、延長のための機器を足せばトラブルの原因も増えます。

そのため、パソコンを置く場所(演台や会議卓など)の近くにオーディオインターフェースを置き、ミキサーからそこまではアナログの配線で引くという組み方になります。

ミキサーとオーディオインターフェースの間は、室内マイクの音を送る配線と相手の声を戻す配線の2本を、アナログで長く引く。オーディオインターフェースはパソコンを置く場所の近くに置き、そこから短い配線で卓上の端子盤へ、そこからUSBでパソコンにつなぐ
USBは短く、長く引くのはアナログの区間にします。

アナログの配線は距離を引いても問題が出にくいので、長く引く区間と短く済ませる区間を、この順序で分けると安定します。

持ち込みパソコンの場合

いまある設備を活かしたいという場合、持ち込んだノートパソコンをその都度つなぐ運用がほとんどです。
そのため、卓上にUSBの差し込み口を出しておく設計になります。
使う人は、ケーブルを1本つなぐだけです。

パソコン側では、Web会議ソフトのマイクとスピーカーに「つないだ機器」を選びます。
手順としては選ぶだけですが、つなぐパソコンが毎回違うので、慣れていない方が戸惑うことはあります。

パソコン側の設定をなくす、という選択肢もあります

この設定の手間をなくしたい場合は、会議室に専用のWeb会議端末を据え置く方法もあります。
Microsoft Teams Rooms などがこれにあたります。
そのぶんの費用は別途かかります。

大掛かりに聞こえますが、スケジュール管理と連携させず、会議のIDを入力して使う運用であれば、導入のハードルは高くありません。
かつてのテレビ会議装置に近い使い方です。

この場合も、音響設備は既設のままです。 変わるのは、つなぐ機器が持ち込みのノートパソコンから据置の端末になる点だけで、ここまでご説明した配線の考え方は変わりません。

なお、スケジュール管理と連携させる運用にする場合は、Microsoft 365 の導入とその管理が別途必要になります。


熊本での音響設備の設計・施工

正清電器は、会議室・ホール・学校施設の音響映像設備を、設計から施工・調整まで一貫して対応しています。
技術責任者の音響設計・調整実績は全国80施設以上です。
電気通信工事業・電気工事業の許可(熊本県知事許可)を自社で保有しているため、配線・電源まわりまで含めてまとめて対応できます。

熊本県内で、新設だけでなく既存の音響設備の改修・更新もご相談いただけます。
「いまある設備をWeb会議で使えるようにしたい」というご相談が増えています。
今の設備のどこまで活かせるかを見るところから始められます。

現地調査・お見積りは無料です。


ご相談・お問い合わせ

合資会社 正清電器(熊本市南区田迎3丁目2番33号) TEL: 096-379-1234 お問い合わせフォームはこちら


関連ページ: 会議室・セミナー室の音響映像設備 / 会議室のハウリング・聞き取りにくさの解決 / 会場の声をオンラインに届ける天井マイク