会議室の音響設備を、Web会議のパソコンにつなぐ|いまある設備で始める方法
会議室でWeb会議をするとき、多くの場合はノートパソコンを1台置くところから始まります。
成立するのは、全員がパソコンの近くに座れる範囲までです。
席が離れると、遠い人の声は相手に届きません。
会議室にマイクとスピーカーの音響設備があるなら、それを使えば解決できます。 ただし音響設備は「部屋の中に音を出す」ためのもので、そのままではパソコンとつながりません。
間に機器を足すことになります。
もっとも、どの会議室でもそのまま流用できるとは限りません。 何が必要で、いまの設備で足りるのか。
そこから順にご説明します。
この記事の要点
- ノートパソコン1台のWeb会議は、全員がパソコンの近くに座れる範囲まで。会議室の音響設備を使えば、離れた席の声も届けられます。
- 判断が要るのはミキサーの中の設定です。パソコンへ送る側には相手の声を乗せない「送り分け」が、いまのミキサーで作れるかが分かれ目になります。
- 空気を伝ってマイクに戻る音(エコー)は、送り分けでは塞げません。エコーキャンセラーは設計の時点で決めておく項目です。
送り分けを設計する
ケーブルをつなぐこと自体は難しくありません。
判断が要るのは、ミキサーの中の設定です。
音響設備から出る音は、行き先ごとに中身を変える必要があります。
室内のスピーカーには相手の声を出さなければ、会議室にいる人に聞こえません。
逆に、パソコンへ送る側に相手の声が乗っていると、相手の声が相手へ戻ってループします。
つまり、出力先ごとに、ミキサー側で送る音の設定を変えておく必要があります。 配線を引けば決まるものではありません。
ここは後述のエコーキャンセラーで解決できる部分ではなく、大前提として設計しておくところです。
いまの設備でこの設定ができるかどうか、ご自身での確認が難しい場合は当社でお手伝いします。
いまある設備で足りる場合、足りない場合
既設への組み込みで、可否を決めるのはミキサーです。 前章の送り分けを実現するには、次の2つが要ります。
- 物理的な入出力に余りがあること。 パソコンへ送る出力と、パソコンから受ける入力で、2系統を新たに使います
- マトリクスが組めること。 どの入力の音を、どの出力へ送るかを個別に設定できること。相手へ送る側にだけ相手の音を乗せない、という設定はこれで作ります
会議室によくある簡易なミキサーやアンプは、出力が1系統で、そこに全部が混ざって出る構造のものが少なくありません。
この場合は送り分けが作れないため、ミキサーは入れ替えになります。
ここが、既設を活かせるかどうかの実質的な分かれ目です。 スピーカーやアンプがそのまま使えても、ミキサーが対応できなければ、そこだけは手を入れることになります。
どちらに当たるかは、現地で既設の型式と結線を確認しないと判断できません。
なお、ミキサーを入れ替えることになった場合は、そのタイミングでエコーキャンセラーを内蔵した機種を選んでおくことをおすすめします。
理由は次章でご説明します。
エコーキャンセラーを、どこに持たせるか
送り分けができていれば、ミキサーの中に相手の声が戻る経路はありません。 それでもエコーは起こりえます。
相手の声は、室内のスピーカーから出ています。
その音は空気を伝って、室内のマイクに入ります。 そのマイクの音は相手へ送られるので、結果として相手には自分の声が返ります。
これは送り分けでは塞げません。 スピーカーとマイクが同じ部屋にある限り、音は空気を通ります。
この空気を経由した回り込みを消すのが、エコーキャンセラーの役割です。
相手から来た音が部屋を回ってマイクに戻る分を常時追いかけ、送る前に差し引きます。
この処理はWeb会議ソフト側にも備わっていますが、設備として組む場合は、会議室側の機器に持たせておくのが一般的です。
理由は2つあります。
使ってみて不足が分かってから追加するとなると、あらためて予算を取り、機器を選定し、工事の日程を組み直すことになります。
そしてもう1つ、最初からその機能を持つ機器で組む方が、あとから足すより費用を抑えられます。
後から足せる部分ではないので、設計の時点で決めておく項目とお考えください。
室内のハウリングとは別の現象です
「相手に声が返る」という症状から、ハウリングと混同されることがありますが、別物です。
| 室内のハウリング | Web会議のエコー | |
|---|---|---|
| 起きる場所 | 室内(キーンと発振する) | 相手側(自分の声が遅れて返る) |
| 主な原因 | スピーカーとマイクの位置関係・向き | 相手へ送る音に、相手から来た音が混ざっている |
室内のハウリングは、室内で音が一周することで起きます。
対処も別で、こちらは会議室のハウリング・「音が聞き取りにくい」を解決する音響設備の選び方で解説しています。
どうつなぐか
必要なのは、会議室の音響設備とパソコンの間に入る機器です。
オーディオインターフェースといい、パソコンとはUSBでつなぎます。
音の流れは2方向あります
| 向き | 経路 |
|---|---|
| 室内の声を相手へ | 室内マイク → 会議室の音響設備 → オーディオインターフェース → パソコン |
| 相手の声を室内へ | パソコン → オーディオインターフェース → 会議室の音響設備 → 室内スピーカー |
注意が要るのは、ミキサーのどの出力から音を取り出すかです。
室内のスピーカーへ送っている出力には相手の声が混ざっているので、そこからは取れません。
送り分けで用意した、相手の声を含まない出力から取ります。
機器をどこに置くかで、使い勝手が変わります
固定の設備として組む場合、オーディオインターフェースをどこに置くかが実際の設計になります。
要点は、USBの配線は短く取ることです。
長く引くと不安定になりやすく、延長のための機器を足せばトラブルの原因も増えます。
そのため、パソコンを置く場所(演台や会議卓など)の近くにオーディオインターフェースを置き、ミキサーからそこまではアナログの配線で引くという組み方になります。
アナログの配線は距離を引いても問題が出にくいので、長く引く区間と短く済ませる区間を、この順序で分けると安定します。
持ち込みパソコンの場合
いまある設備を活かしたいという場合、持ち込んだノートパソコンをその都度つなぐ運用がほとんどです。
そのため、卓上にUSBの差し込み口を出しておく設計になります。
使う人は、ケーブルを1本つなぐだけです。
パソコン側では、Web会議ソフトのマイクとスピーカーに「つないだ機器」を選びます。
手順としては選ぶだけですが、つなぐパソコンが毎回違うので、慣れていない方が戸惑うことはあります。
パソコン側の設定をなくす、という選択肢もあります
この設定の手間をなくしたい場合は、会議室に専用のWeb会議端末を据え置く方法もあります。
Microsoft Teams Rooms などがこれにあたります。
そのぶんの費用は別途かかります。
大掛かりに聞こえますが、スケジュール管理と連携させず、会議のIDを入力して使う運用であれば、導入のハードルは高くありません。
かつてのテレビ会議装置に近い使い方です。
この場合も、音響設備は既設のままです。 変わるのは、つなぐ機器が持ち込みのノートパソコンから据置の端末になる点だけで、ここまでご説明した配線の考え方は変わりません。
なお、スケジュール管理と連携させる運用にする場合は、Microsoft 365 の導入とその管理が別途必要になります。
熊本での音響設備の設計・施工
正清電器は、会議室・ホール・学校施設の音響映像設備を、設計から施工・調整まで一貫して対応しています。
技術責任者の音響設計・調整実績は全国80施設以上です。
電気通信工事業・電気工事業の許可(熊本県知事許可)を自社で保有しているため、配線・電源まわりまで含めてまとめて対応できます。
熊本県内で、新設だけでなく既存の音響設備の改修・更新もご相談いただけます。
「いまある設備をWeb会議で使えるようにしたい」というご相談が増えています。
今の設備のどこまで活かせるかを見るところから始められます。
現地調査・お見積りは無料です。
ご相談・お問い合わせ
合資会社 正清電器(熊本市南区田迎3丁目2番33号) TEL: 096-379-1234 お問い合わせフォームはこちら
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