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法人向けコラム

ハイブリッド会議で会場の声が届かない|天井マイクという選択肢と費用

会議室の天井に設置したシーリングアレイマイクと、その隣にあるワイヤレスマイク用のアンテナ兼チューナーユニット

会議や研修を、会場とオンラインの両方で開く形が増えています。

このとき置いていかれるのが、オンライン側です。
会場で出た質問や意見が届きません。
司会が「いまのご質問を繰り返します」と復唱してしのいでいる会議室は少なくありません。

会議室のイラスト。会場の参加者が手を挙げて質問しているが、前方の画面に映るオンライン参加者たちは聞こえずに困った顔をしている。司会者が前に立ち、画面の左右の壁にスピーカーがある
会場で出た質問が、オンライン側には届いていません。

天井にマイクを置くと、誰がどの席で話しても、その声を拾って配信先に届けることができます。 マイクを回す必要がなくなります。

会議室のイラスト。ロの字に並んだ机の参加者が席に座ったまま発言し、前方の画面に映るオンライン参加者がうなずいている。誰もマイクを持っていない。天井のマイクから、話している人の方向へ拾う範囲が向いている。画面の左右にスピーカー、画面の下にカメラがある
席に座ったまま話しても、オンライン側に声が届きます。

※この記事は、会議室の音響設備をWeb会議のパソコンにつないである前提で書いています。
つなぎ方そのものは会議室の音響設備を、Web会議のパソコンにつなぐで解説しています。

この記事の要点

  • 天井にマイク(シーリングアレイマイク)を置けば、マイクを回さずに、誰がどの席で話しても配信先に声を届けられます。
  • 向くのは、広い部屋(席が2列以上・コの字やロの字・人数が回によって変わる部屋)と、すでに音響設備(PA)が入っていて、それを活かしたい部屋です。コンパクトで音響設備のない部屋なら、ビデオバーで足ります。
  • 本体は数十万円、システムの総額は数百万円の規模。実績のある構成を土台に機器を絞ると、大きく下がる場合があります。

天井に置くという解き方

天井に上げる前に、よくある対処法と比べておきます。
司会が質問を復唱する、係がマイクを持って客席を回る、机にマイクを並べる。
どれも効果はありますが、質問のたびに誰かが動くことになります。

よくある対処法。司会が質問を復唱する、係がマイクを持って回る、机にマイクを並べる。どれも質問のたびに誰かが動く。天井にマイクを置くと、誰も動かずに済む
どの方法でも、質問のたびに誰かが動くことになります。

天井に上げると、誰も動かずに済みます。 天井に設置するこの機器を、シーリングアレイマイクといいます。
見た目は天井に付いた四角い板や丸い円盤ですが、その一枚の中に小さなマイクが数十個、びっしり並んでいます。
声がそれぞれのマイクに届くわずかな時間差から、どの方向から声が来たかが分かるので、話している人の方向だけを選んで拾うことができます。
机の上に何も置かないまま、全席をカバーできるのが特長です。

シーリングアレイマイクのしくみ。天井の板の中に小さなマイクが数十個並んでいる。声が各マイクに届くわずかな時間差から、どの方向から来たかが分かるので、話している人の方向だけを選んで拾う
机の上に何も置かないまま、全席をカバーできます。

ご存じない方が多い機器ですが、無理もありません。
天井に埋め込まれると天井板や照明に馴染んでしまい、言われなければマイクだと気づきません。

防犯・監視用の集音マイクとは別物です

「天井 マイク」で検索すると、7千円から1万円程度の商品が出てきます。
これは防犯や監視の用途で使う集音マイクで、目的がまったく違います。

防犯・監視用は「その場で何か音がしたことを記録する」ためのものです。
単一のマイクで周囲の音をまとめて拾うので、誰が話しているかで拾い方を変えることはできませんし、遠隔会議で必要になるエコーの除去機能もありません。

会議で使うシーリングアレイマイクは、方向を選んで拾うことと、スピーカーから出た音がマイクに回り込むのを除去することが仕事です。
同じ「天井のマイク」でも、解いている問題が別です。
価格も大きく違います。

防犯・監視用の集音マイクと会議用のシーリングアレイマイクの違い。防犯・監視用は音がしたことを記録するもので、単一のマイクでまとめて拾い、エコーの除去はない。7千から1万円程度。会議用は話している人の方向を選んで拾い、スピーカーから回り込んだ音を除去する。本体だけで数十万円
検索で出てくる安価な製品は、目的がまったく違います。

どんな部屋なら成立するか

天井集音がいつでも最適解というわけではありません。
部屋の広さで判断します。 コンパクトな部屋ならビデオバー、広い部屋なら天井集音です。

コンパクトな部屋であれば、マイク・スピーカー・カメラが一体になったビデオバーで足ります。
話者とマイクの距離がもともと近いので、天井に上げる必要がありません。

その場合も当社でご提案しますので、お気軽にご相談ください。 部屋の条件を伺えば、必要な範囲だけをご提案します。

天井集音が効いてくるのは、席が2列以上になる部屋、コの字やロの字に配置する部屋、参加人数が回によって変わる部屋です。
マイクの前に座るという運用を全員に強いることが難しい部屋、と言い換えてもかまいません。

部屋の広さと、いまある設備で判断する。コンパクトで音響設備のない部屋は、話す人とマイクがもともと近いので、ビデオバーで足りる。天井マイクが向くのは、席が2列以上になる、コの字やロの字に配置する、参加人数が回によって変わる、といった広い部屋と、音響設備(PA)があり、それを活かしたい部屋
広さに加えて、いまある音響設備を活かしたいかどうかでも判断します。

正直に申し上げると、高いです

ここまで読んで「うちの部屋に合いそうだ」と思われた方に、先にお伝えしておくことがあります。

シーリングアレイマイクは、本体だけで数十万円します。 そして本体を買えば使えるようになるわけではありません。

天井マイクを会議室で成立させるには、マイクのほかに音声処理を行うDSP、機器をまとめて動かす制御装置、遠隔側に話者を映すカメラが必要になります。
これらを含めたシステムの総額は、必要なものを一通り揃えると数百万円の規模になります。
当社は実績のある構成を土台に機器を絞るので、ここから大きく下がる場合があります(後述)。

多くの場合、この金額が出た時点で「そこまでは考えていなかった」となります。
ですので、なぜその金額になるのかと、どこを減らせるのかを続けて説明します。
金額の中身が分かれば、予算に乗せられる形が見えてくることがあります。


なぜ高いのか

金額の大部分は、実はマイク本体ではありません。
マイクが拾った音を、会議で使える状態にするまでの間にかかります。
一通り揃えると、次のものが要ります。

① 音声処理(DSP) 天井のマイクは複数のマイクユニットの集合体です。
どの方向の音を採用するかの判断、スピーカーから回り込んだ音の除去、空調などの定常的な雑音の抑制を、常時処理し続ける必要があります。
この処理を担う装置が要ります。

② カメラ 遠隔の相手にとって、声が届くことと誰が話しているか分かることは別の要件です。
会議室側の映像がなければ、音声だけが良くなっても会議の質は上がりきりません。

③ 制御装置とタッチパネル ここまでで機器が複数台になります。
そのままでは、使うたびに複数のリモコンと複数の電源を順番に操作することになります。
これをまとめて動かす制御装置と、操作するためのタッチパネルが必要になります。

④ UI設計・プログラム費 そして、ここが見落とされがちです。
タッチパネルは買ってきただけでは動きません。
その会議室の使い方に合わせて、画面と動作を設計してプログラムする作業が要ります。
これは機器代ではなく設計費です。

つまり高くなる理由は、単価の高い機器が1つあるからではなく、役目が積み上がり、それぞれに機器が付くからです。

金額の大部分はマイク本体ではない。①音声処理(DSP)で方向の判断・回り込みの除去・雑音の抑制、②カメラで誰が話しているかを相手に映す、③制御装置とタッチパネルで複数の機器をまとめて動かす、④UI設計・プログラム費で部屋の使い方に合わせて画面を作る。役目が積み上がり、それぞれに機器が付く
高くなる理由は、単価の高い機器が1つあるからではありません。

費用はどこまで下げられるか

前の章の金額は、必要なものを一通り揃えた場合の規模です。
天井マイクのシステムは、機器をひとつずつ個別に揃えていくと、この規模になります。 一般的な構成が高くなるのはそのためです。

ただ、この積み上がりの一部は、確実に動かすための保険として入っているものです。
天井マイクは、まだ扱った経験のある業者が少ない機器です。
機器同士が噛み合うか、現場で期待どおりに動くかを経験から読めないと、念のために機能を重ねて安全側に寄せることになります。
それ自体は無理のない判断です。

当社は、天井マイクを会議室に納め、実際に使われ続けている実績があります。 その構成を土台にし、お客様の使い方に合わせて新しい要素が加わるときは、メーカーのデモ機で組み合わせを確かめてから設計します。

実績と検証の裏付けがあるので、動作の確実さを落とさずに、機器を減らせます。
新しく入れる場合でも、既にある設備を活かす場合でも、これで費用は大きく圧縮できる場合があります。

お客様のお話を伺いながらその部屋で本当に要る機能を詰めていき、無駄をそぎ落とした構成でご提案します。

そぎ落としたうえで、あとから足したくなったときに大きな作り直しにならない余地は残します。 初期費用を上げずに、そこまで見込んで設計するのが当社の仕事です。


実際に納めた会議室

この記事で説明した考え方で施工した事例をご紹介します。
冒頭の写真は、この会議室の天井です。

玉名郡市医師会館 新会議室 — 天井のシーリングアレイマイクとカメラでWeb会議に対応し、タッチパネルからワンタップで起動できる会議室です。
Microsoft Teams Rooms のように会議室専用の端末を置く運用にも、この部屋側の設計はそのまま使えます。

導入した機器の型番や、部屋全体の写真は事例ページに掲載しています。


会場内の拡声にも使いたい場合

天井マイクは配信や収録のためのものです。
拾った声を同じ部屋のスピーカーから鳴らす「拡声」には、基本的に向きません(ハウリングが起きます)。

それでも「会場内の拡声に、天井マイクを使いたい」という場合には、ボイスリフトというシステムの組み方があります。
天井マイクで拾った声を、聞こえにくい席の近くのスピーカーから小さく補う考え方です。
当社でも設計・施工できます。ご興味があればお問い合わせください。

ただし、先にお伝えしておきます。
ボイスリフトは、ハウリングが起きる限界のすぐ手前を狙って組むシステムです。 かなり精密な設計が要り、追い込んだあとも繊細です。
机の配置を変えるといった室内の変化だけで、ハウリングが起きやすくなることがあります。
そして、しっかり追い込めたとしても、ハウリングまでの余裕はハンドマイクでの拡声には遠く及びません。

費用の面でも大掛かりになります。
スピーカーを複数に分けて配置し、それを制御する機器が増え、天井マイクも複数必要になるためです。

会場内に声を届けること自体は、ハンドマイクでの拡声のほうがはるかに確実です。
ボイスリフトは「それでもマイクを回したくない」という要望に対する、手間と費用をかけた答えだとお考えください。


熊本での音響設備の設計・施工

会議室の改修で音の相談をいただく場合、図面が固まる前が最も選択肢が多い状態です。
天井の下地・配線ルート・照明や空調の割付が決まる前であれば、集音の方式を部屋に合わせて選べます。

図面が固まったあとや、既に工事が終わっている部屋でも、その条件に合わせた設計をします。

正清電器は、会議室・ホール・学校施設の音響映像設備を、設計から施工・調整まで一貫して対応しています。
技術責任者の音響設計・調整実績は全国80施設以上です。
電気通信工事業・電気工事業の許可(熊本県知事許可)を自社で保有しているため、配線・電源まわりまで含めてまとめて対応できます。

熊本県内で、新設だけでなく既存の音響設備の改修・更新もご相談いただけます。
今の設備のどこまで活かせるかを見るところから始められます。

「まだ構想段階で、何を決めればいいか分からない」という段階のご相談で構いません。
現地調査・お見積りは無料です。


ご相談・お問い合わせ

合資会社 正清電器(熊本市南区田迎3丁目2番33号) TEL: 096-379-1234 お問い合わせフォームはこちら


関連ページ: 会議室・セミナー室の音響映像設備 / 会議室のハウリング・聞き取りにくさの解決

よくある質問

会議室の天井マイクは、いくらぐらいかかりますか? +
シーリングアレイマイクは本体だけで数十万円、システムの総額では数百万円の規模になります。マイク本体のほかに、音声処理を行うDSP、機器をまとめて動かす制御装置とタッチパネル、遠隔側に話者を映すカメラ、そしてタッチパネルの画面と動作を設計するプログラム費が必要になるためです。ただし、この金額は必要なものを一通り揃えた場合の規模です。お客様の使い方を伺い、その部屋に本当に要る機能に絞って設計すると、費用は大きく圧縮できる場合があります。
Microsoft Teams Rooms の会議室を熊本で構築できる業者を探しています。 +
正清電器(熊本市南区田迎)にご相談ください。Teams Rooms のように会議室に専用端末を据え置く構成でも、天井マイク・カメラ・スピーカー・制御といった部屋側のAV設備の設計・施工・音響調整を一貫して対応します。端末そのものは情報システム部門の管轄でも、その端末に入る音と映像の品質は部屋側の設計で決まります。電気通信工事業・電気工事業の熊本県知事許可を自社で保有しています。TEL: 096-379-1234(月〜土 9:00〜18:30)
既にマイクとスピーカーがある会議室でも、天井マイクを追加できますか? +
できます。既設のアンプとスピーカーが活かせる場合は、それらを新しく用意する必要がありません。ほかにも活かせる機器がないかを含めて現地で確認させていただき、無駄な投資を抑えたご提案をいたします。
ネット通販で見かける1万円ほどの天井マイクとは何が違いますか? +
別物です。安価な製品は防犯や監視の用途で使う集音マイクで、その場で音がしたことを記録する目的のものです。単一のマイクで周囲の音をまとめて拾うため、誰が話しているかで拾い方を変えることはできず、遠隔会議で必要になるエコーの除去機能もありません。会議用のシーリングアレイマイクは、複数のマイクユニットで話者の方向を選んで拾うことと、スピーカーから回り込んだ音を除去することが役割です。